既卒から正社員に就職するには|新卒と同じ枠で戦わない

公開日:2026-09-15 / 更新日:2026-09-15 / 執筆:キャリアのナナメ相談所 編集部

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同級生の投稿が流れてくる。研修の写真、名刺を持った手元、飲み会の集合写真。指を止めずにそのまま下へ送って、アプリを閉じる。

卒業式のあと、就職先が決まっていなかった。周りが動き出す時期に、自分だけ何を選べばいいのか分からないまま、気づけば数か月が過ぎていました。いまも求人は見ているのですが、「新卒」と書かれた募集は応募できず、「経験者歓迎」の募集は開くのもためらいます。

ここで多くの人が、自分が出遅れたのだと考えます。ですが、出遅れているというより、戦う枠を間違えているほうが近いんです。既卒が応募できる枠は3つあって、そのうち1つは職歴がない前提で選考が組まれています。

この記事では、その3つの枠を分けるところから始めて、どこで戦うかの決め方、「なぜ就職しなかったのか」への答え方、そして職歴のかわりに何を材料にするかまでを整理します。

「既卒は不利」の中身を分ける

求人を探していると、この言葉に何度もぶつかりますよね。そう書かれているのを読むともう入口が閉まっているように感じますが、一括りにできる話ではなく、どこでつまずくのかは応募した枠によって変わります。

既卒が応募できる枠は3つあって、それぞれ見られるものが違います。

枠どこを見られるか既卒からの入りやすさ
新卒枠(卒業後も受け付ける会社)学生と同じ基準。学歴やこれからの伸びしろ会社によって受け付けの有無が違うので、募集要項の応募資格で確認する
中途の未経験枠社会人としての経験。職歴がないと比べる相手が有利になる応募はできるが、経験者と同じ枠に並ぶので通りにくい
既卒・第二新卒の専門枠働いていなかった理由と、いまの状態いちばん現実的。職歴がない前提で選考が組まれている

「既卒は不利」と言われるとき、たいてい2つ目の枠の話をしています。中途の未経験枠には前職を辞めて次を探している人が並ぶので、その人たちと同じ枠で比べられたら、職歴がないほうが不利になるのは当然です。

ですが、3つ目の枠は事情が違います。既卒や第二新卒を専門にしているところは職歴がないことを前提に選考を組んでいるので、職務経歴書ではなく面談で話を聞く形にしていたり、研修から始める前提だったりします。

つまり、不利かどうかは「既卒だから」で決まるのではなく、どの枠に応募したかで決まります。同じ人が同じ書類を出しても、枠を変えれば結果が変わることがあるんです。

見分け方は、募集要項の応募資格の欄にあります。「2026年3月卒業予定者」とだけ書いてあれば新卒枠で在学中の人向け、「社会人経験3年以上」なら中途枠、「経歴不問」「社会人未経験歓迎」なら専門枠に近い募集です。同じ求人サイトに並んでいても、この一行で選考の中身は変わります。

もう一つ、会社の規模でも変わります。新卒を毎年まとめて採る大きな会社は時期も枠も固まっているので卒業後の応募を受け付けていないことがありますが、人数の少ない会社は通年で採っていて、卒業年度をそもそも見ていないことも多いです。

ここで、似た立場の記事と分けておくと、アルバイトで働いてきた人の進め方は、こちらの記事のほうで扱っています。

フリーターから正社員になるには

あちらが扱うのは「アルバイトで働いてきた人」です。この記事は「働いていない期間がある人」の話なので、書けるものが違ってきます。

一方、就職して3年以内に辞めた人のほうは、第二新卒と呼ばれます。

第二新卒の転職 3年以内だからこその強み

第二新卒との違いは、職歴の有無です。あちらは短くても職歴があるのでそこを材料にできますが、既卒にはそれがないぶん、別のものを出すことになります🧩

どの枠で戦うかを、先に決める

枠が3つあると分かったら、次はどこに応募するかを決めます。全部に出すより1つに絞って書類を作り込んだほうが通るので、ここで散らさないでください。

新卒枠を受け付けているかどうかは、募集要項の応募資格の欄を見れば分かります。「2026年3月卒業予定者」とだけ書かれていれば在学中の人だけですが、「卒業後3年以内の方も応募可」のように書き添えている会社もあるので、書いていない場合は問い合わせて構いません。聞くこと自体が不利になることはないです。

中途の未経験枠にも応募はできますが、そこで並ぶ相手に職歴があることは意識しておいてください。「未経験歓迎」と書かれていても、社会人経験がある未経験者を想定している募集が多いからです。

既卒・第二新卒の専門枠は、求人サイトの検索だと見つけにくいところがあるので、専門にしているエージェントや既卒向けの合同説明会から入るほうが早いです。

3つのうちどれを選ぶかは、卒業からの年数で変わります。まだ半年なら新卒枠が残っている会社もありますし、2年3年と経っているなら専門枠のほうが現実的です。年数を隠して新卒枠に出し続けるより、年数に合った枠を選んだほうが結果は出ます。

それと、業界によっても入口の広さが違います。人手が足りている業界では新卒も既卒もまとめて採る会社があり、そういうところでは年数をあまり気にされません。

絞るときは、応募先の数を減らすことを怖がらないでください。3つの枠に手を広げると書類も3種類作ることになるので、どれも作り込めないまま出すことになってしまいます。専門枠に絞ると決めたなら、そこ向けの書類を1つ仕上げて、それを使い回すほうが早いです。

ちなみに、枠を決めると「なぜこの会社なのか」も書きやすくなります。専門枠なら研修があることを理由にできますし、小さい会社なら任される範囲の広さを理由にできます。枠が決まっていないうちは志望動機も曖昧になるので、そこも一緒に進みます🔍

「なぜ就職しなかったのか」への答え方

面接でいちばん聞かれるのが、ここです。「卒業されてから、どう過ごされていましたか」という質問は、ほぼ必ず来ると思っておいてください。

この質問で詰まる人が多いのは、答えを立派にしようとするからで、実際にやっていないことを言ってしまうと、次の質問であっさり崩れてしまいます。

崩れる言い方

  • 公務員試験を目指していました
  • やりたいことを探していました

事実といまを並べた言い方

  • 何を受けるか決めきれずに時間が過ぎてしまいました。いまは民間の事務職に絞って動いています
  • 在学中に方向を決められず、卒業後もそのままになっていました。この3か月で業界を一つに決めて、関連する講座を終えました

左側が崩れるのは、嘘だからというより、そのあとの質問に耐えられないからです。「公務員試験を目指していた」と言えば、どの試験を受けたのか、結果はどうだったのか、いまも受けるのかを順番に聞かれてしまいます。そこで答えられないと、就職しなかったこと自体より印象が悪くなってしまいます。

右側には、事実といまの状態が両方入っています。「決めきれなかった」という事実を認めたうえで、「いまは絞って動いている」を並べる。過去を作り替えなくて大丈夫です。

面接官が確かめたいのは、そのときの事情ではなく、いま働ける状態にあるかどうかです。だから過去の説明は短く済ませて、いまの話のほうに時間を使うと伝わりやすくなります。

目安として、過去の説明は20秒、いまの話に40秒くらいの配分です。「卒業後、進路を決めきれずに時間が過ぎました」で一度切って、そのあとに「この3か月で業界を絞って、こういう準備をしています」と続けると収まります。逆にすると、面接の前半が全部言い訳の時間になってしまいます。

それに、深く聞かれても事実なら話は続くんです。「その時期、何を考えていましたか」と重ねられたら、「求人は見ていたのですが、勤務地と職種のどちらを優先するかで迷って動けずにいました」と答えられます。迷った内容まで出せるのは、実際に迷った人だけです。

逆に、やってはいけないのが会社や学校のせいにすることです。「大学のキャリアセンターが頼りにならなかった」と言うと、入社後も環境のせいにする人だと受け取られます。事情があったとしても、そこは言わずに置いておきます。

在学中に進路を決めきれず、卒業後もそのままになっていました。自分でも動けていない時期が続いたのですが、この3か月は事務職に絞って、簿記の3級とパソコンの基本操作を勉強しています。まずは正確に処理する仕事から入って、任される範囲を広げていきたいと考えています

何もしていなかった期間の扱いは、空白期間の記事でも詳しく扱っています。

職歴なし・空白期間ありでも転職はできる

なお、就職した人が全員そのまま続いているわけでもありません。厚生労働省の調査では、大学を出て就職した人の33.8%が3年以内に最初の会社を離れているので、3人に1人は一度立ち止まっている計算になります。就職しなかったことを、一人だけの失敗のように考えなくて大丈夫です。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和4年3月卒業者の3年以内離職率。

職歴がないぶん、何を材料にするか

職務経歴書を開いて、書くことが何もないと感じますよね。職歴の欄が空いたままなので、書き始める前に手が止まってしまいますよね。

ただ、既卒・第二新卒の枠では、職歴がないことは前提です。見られているのは別のところなので、材料は3つの方向から集められるはずです。

一つ目は、アルバイトです。短期でも構わないので、何を任されていたか、そこで何を工夫したかまで書いてください。「コンビニでレジと品出し」で終わらせず、「発注を任されて、売れ行きを見ながら数を調整していた」まで書くと、仕事の話として読まれます。

二つ目は、学業のほうで、卒業論文や研究、ゼミで何を扱ったかです。内容そのものが仕事に直結しなくても、テーマを決めて資料を集めて締め切りまでに形にしたという流れは、そのまま仕事の進め方と重なります。

三つ目は、卒業後にやったことのほうです。資格の勉強でも独学でも短期のバイトでも構わないので、「この3か月で何をしたか」が書けるようにしておくと、いまの状態をそのまま示せます。

書き方そのものに迷うなら、こちらも見てみてください。

未経験の職務経歴書に書くことがない人へ

材料を集めるときのコツは、時間の順に並べないことです。古い順に書くと卒業後の空白が真ん中に来てしまうので、「できること」でまとめて、そのあとに時期を添えるほうが読みやすくなります。

たとえば、アルバイトの接客と、卒業論文の資料整理と、卒業後に取った簿記。これを時間順に並べると空白が目立ちますが、「人に説明する経験」「決まった形式で処理する経験」という二つにまとめてしまえば、時期は補足で済みます。

それから、応募先の仕事内容から逆に見るのも手です。求人に「電話対応」「データ入力」「来客対応」と書いてあるなら、その3つに当てはまる経験だけを探します。全部の経験を書こうとすると散ってしまいますが、3つに絞れば、アルバイトの1つの場面からでも拾えます📄

年数が経っているなら、枠を変える

卒業から時間が経つほど、新卒枠は狭くなっていきます。これは事実なので、そこを気にして応募を止めてしまうより、枠のほうを変えたほうが早く進みます。

年数が経つと、逆に既卒専門枠のほうは相性がよくなるんです。空白期間の理由を聞く前提で面談を組んでいるので、そこを隠さずに話せば選考は進みますし、新卒枠で年数をぼかしながら受け続けるより、こちらのほうが通ります。

既卒の就職支援を専門にしているところなら、書類の書き方から面接の答え方まで、時間をかけて見てもらえます。18歳から29歳が対象なので、この年齢に当てはまるなら相談先の候補に入れてください。

職歴がない前提で相談したい、18〜29歳の方へ

UZUZ既卒に無料で相談する

※UZUZ既卒は18〜29歳が対象です。既卒や第二新卒から正社員を目指す人向けに選考が組まれているので、 職歴の欄が空いている状態でも話を進められます。

30代以降の場合は、既卒向けの支援より、未経験の中途枠を扱っているところのほうが合います。対象年齢や得意分野を比べてから決めてください。

未経験転職におすすめのエージェント比較

それと、枠を変えるときは応募書類も作り直します。新卒枠向けに書いた自己PRをそのまま出すと、卒業後の時間について何も触れていない書類になります。専門枠では、そこを書いたほうが読まれます。

新卒枠向けの書類は、学生時代の話が中心になっているはずです。サークル、ゼミ、アルバイト。そこに卒業後の話を足すだけで、全体のつながりが見えてきます。「在学中は決めきれなかったが、卒業後に絞った」という流れ自体が、いまの応募理由として使えます。

もう一つ、応募のペースも変えてください。新卒の就職活動では何十社も受けるのが普通ですが、既卒の専門枠では1社ずつ面談を挟むので、同時に何社も進めると回りません。3社くらいに抑えて、落ちた理由を聞いてから次へ行くほうが通過率は上がるはずです🗂️

よくある質問

既卒だと、新卒枠には応募できないのですか?

会社によって違います。募集要項の応募資格に「卒業後3年以内の方も応募可」と書き添えている会社もありますし、在学中の人だけに限っている会社もあります。書いていない場合は、問い合わせて確認するのが確実です。聞いたことで不利になることはないので、気になる会社があれば直接問い合わせてみてください。

空白期間に何もしていなかった場合、どう書けばいいですか?

書類では無理に埋めず、面接で聞かれたときに答えられるよう準備しておくほうが安全です。嘘の経歴を書くと、入社手続きで食い違いが出てしまいます。伝えるときは「決めきれずに時間が過ぎてしまいました」と事実を短く認めたうえで、「この3か月で業界を一つに絞りました」といまの話へ移します。過去より、いま動いているかを見られています。

既卒向けのエージェントと、普通の転職エージェントは何が違いますか?

選考の組み立てが違います。既卒向けのところは職歴がないことを前提にしているので、職務経歴書ではなく面談で話を聞く形にしていたり、研修から始める求人を扱っていたりします。一般の転職エージェントは職歴がある人向けの求人が中心なので、紹介できる求人がどうしても少なくなってしまいます。どちらが良いかではなく、扱っている求人が違うと考えてください。

卒業から3年以上経っていると、もう手遅れですか?

手遅れではありませんが、狙う枠は変えたほうがいいです。新卒枠は年数が経つほど狭くなるので、既卒・第二新卒の専門枠か、未経験の中途枠に切り替えてください。そのときは、空白期間について聞かれる前提で答えを用意しておきます。年数を短く見せる工夫より、いま動いていることを示すほうが効きます。

まとめ:同級生ではなく、枠のほうを見る

あの投稿を見て落ち込む時間は、たぶんこれからも何度かあります。ただ、そこで比べている相手は、そもそも別の枠にいる人たちです。

応募できる枠は3つあって、そのうち1つは職歴がない前提で選考が組まれています。問題は経歴ではなく、宛先です。不利かどうかは既卒だからではなく、どの枠に出したかで決まります。

卒業からの年数を見て、いま通る枠を選ぶ。そこに合わせて書類を作り直して、「なぜ就職しなかったのか」には事実といまを並べて答える。この順番で進めれば、同じ経歴でも結果は変わります。

それに、いま同じ枠にいる人たちは、同じように卒業のときに決めきれなかった人です。研修から一緒に始めるのはその人たちなので、比べる相手としてはそちらのほうが現実に近いはずです。

比べる相手を、同級生から自分の枠へ移してください🌱