引き継ぎ資料の作り方|次が決まってから辞めるまでにやること
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同じ引き継ぎでも、2週間で終わる人と辞めたあとまで電話がかかってくる人に分かれますが、差がついているのは仕事の量ではなく資料の作り方のほうです。
辞めるまでの日数は限られていて、そのあいだも普段の仕事は止まりません。だから全部を書き残そうとすると、たいてい途中で力尽きて、もっとも大事なところが抜けたまま最終日が来てしまうんです🗃
しかも未経験の職種へ移る場合、この時期にやるべきことがもう一つ増えて、次の会社に出す職務経歴書を、いまの仕事の棚卸しから作り直せるんです。
順番を先に言っておくと、終わる引き継ぎ資料の作り方を置いて、そのあとで入れる項目と、後任が決まっていない場合の書き方、そして最後の1週間にやることまでを並べます。
引き継ぎ資料は、前職のためだけのものではない
引き継ぎというと、残る人のためにやる作業だと思われがちですが、作っているあいだに手元にも残るものがあって、それは自分が何をやっていたかの一覧です。
未経験の職種へ応募するとき、まず困るのが職務経歴書の中身でしょう。特別な実績がないと感じている人ほど、書くことがないまま白い画面を眺めることになるんです。
ところが引き継ぎ資料を作ると、書くことが勝手に出てきます。毎月やっていた作業、取引先とのやりとり、自分だけが知っていた手順。並べてみると、思っていたより多いことに気づきます📦
量も数えてみると効いてきて、書き出した作業が20個あったなら、それは20個ぶんの仕事を回していたという話なので、実績がないと感じていた前提そのものが崩れるかもしれません。
だから作る順番としては、引き継ぎ資料を先に作ってそこから職務経歴書へ写すのがいちばん早くて、逆にすると記憶だけで書くことになり、具体的な数字や場面が抜け落ちます。
ここで自分用に残すのは、やっていた作業の名前と、そこで工夫したことだけです。会社のファイルそのものを手元に持ってくる話ではないので、そこは分けて考えます。
作業の名前を並べた一覧なら、自分の頭の中身を書き出したものなので持って出られますし、職務経歴書に写すのに必要なのも、その一覧のほうです。
職務経歴書に書くことがないと感じている場合の考え方は、書類の記事に置きました。あわせて使ってください。
未経験の職務経歴書に書くことがない人へ 普通の仕事を強みに変える書き方
それから、引き継ぎを丁寧にやると自分に返ってくる場面もあって、前の職場の人が取引先や同じ業界で顔を合わせる相手になる場合です。
雑に辞めた人の話は思っているより長く残りますし、逆に最後まで整えて出た人には数年後に連絡が来ることもあるので、ここは自分のための投資に近い話です。
作りながら、自分がやった工夫も1行ずつ書き添えておいてください。手順を短くした、確認の回数を減らした、前任者のやり方を変えた。こうしたものは職務経歴書でそのまま使える話ですし、引き継ぎを受ける相手にとっても、なぜこの形なのかが分かる説明です。
とはいえ、完璧を目指す必要はありません。残る人が困らない状態まで作れば、それで十分です🪛
手順書を作ろうとすると、終わらない
引き継ぎ資料が終わらない人には共通した始め方があって、朝から夕方までの作業を時系列で全部書こうとするんです。
この作り方だと書いても書いても終わりませんし、しかも出来上がったものは分量が多すぎて受け取った側が読まないので、努力がそのまま無駄になります。
終わらない書き方
- 朝から順に、やっている作業を全部書き出す。手順を1から10まで文章で説明する
- きれいな文章にまとめようとする。誰が読んでも分かる説明を目指す
- 自分が知っていることを漏れなく書く
- 完成してから渡す
終わる書き方
- 頻度で分ける。毎日のもの、毎月のもの、年に数回のものを別の紙にする
- 箇条書きで止める。詳しいところは口で説明して、そのとき相手にメモを取ってもらう
- つまずきやすい点だけを書く。うまくいく手順は相手が自分で覚えられる
- 途中の状態で渡して、相手が触りながら足していく
右側の1行目が、とくに効きます。頻度で分けるだけで、書く量が一気に減ります。ここが分かれ目です。紙の枚数は増えますが、書く総量は半分以下になるため、期限に追われている人ほど助かるはずです。
毎日やっている作業は口で説明すれば1日で伝わりますが、年に1回しか起きない作業は実際にやってみせる機会がないので、そこだけは文字で残す必要が出てきます。
つまり、文字で残すべきものは頻度の低いものだけなんです。そこだけに絞るのが要点です。毎日の作業に時間をかけて書き込んでいる人が多いのですが、毎日の作業は引き継ぎの期間中に相手が実際にやってみるほうが早く身につきます。
2行目も大事なところで、きれいな文章にしようとすると手が止まります。箇条書きで項目だけを並べて、細かいところは口で説明しながら相手にメモを取ってもらうほうが、受け取った側の頭にも残ります。
口で説明する時間は、こちらから先に押さえてしまってください。相手も自分の仕事を抱えていますし、空いたときにお願いしますと言っていると、最後の週まで1回も時間が取れません。
押さえ方は、週に2回、1時間ずつといった形で最初に枠を取ってしまうのが早いです。使わなかった枠は返せばいいだけで、多めに取っておいて困ることはありません。
つまずきやすい点だけを書く、というのは範囲の話で、正しい手順を書くより、どこで間違えやすいかを書いたほうが効くので、自分が過去につまずいた場面を思い出して並べていく形です。
最後の1行は、渡すタイミングの話です。完成を待っていると最終日まで手元に残ってしまいますから、半分できた時点で渡して、相手に触ってもらいながら足りない部分を教えてもらうほうが早く終わります🧹
ファイルの作り方でも迷うところだと思いますが、頻度ごとに分けた紙を1つのファイルにまとめると、かえって使いにくくなるんです。毎日のものと年に数回のものを同じ文書に押し込むと、相手が必要な場所を探せなくなるので、頻度ごとに別の文書にして、表紙の1枚に一覧だけ載せる形が動きやすいです。
入れるのは、4項目だけでいい
頻度で分けたあと、それぞれの作業について書くのは4つだけで、これ以上増やすとまた終わらなくなります。
| 項目 | 書く内容 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| いつ起きるか | 毎月25日、四半期の初日、依頼が来たとき | 相手がカレンダーに入れられる。抜けがいちばん起きやすい部分 |
| 誰に連絡するか | 社内の担当者名、取引先の窓口、承認をもらう相手 | 人の名前が抜けると、相手は誰に聞けばいいか分からなくなる |
| どこにあるか | ファイルの置き場所、共有フォルダの階層、紙の保管場所 | 探す時間がいちばん無駄になる。場所だけで解決する |
| つまずきやすい点 | 過去に間に合わなかった場面、間違えやすい入力、例外の扱い | ここだけは経験した人しか書けない |
1行目のいつ起きるかが、いちばん抜けます。毎日の作業は相手も気づきますが、四半期に1回のものは誰も思い出さないまま期限が過ぎてしまい、そこで初めて発覚します。
誰に連絡するかの欄は、名前と役職まで入れておくのが要点です。部署名だけだと、相手は電話をかけてから探す手間が増えます。
どこにあるか、は手を動かさずに済む部分です。ファイルの場所を1行書くだけで相手の探す時間がまとまって浮きますし、書く効率としてはここが最上です。
つまずきやすい点だけが自分にしか書けない部分で、手順は誰でも調べられますが、どこで失敗したかは経験した人しか知らないので、思い出せるものを全部並べておくと、そこが資料の値打ちになります。書きすぎて困ることはない欄なので、思いつくかぎり足しておくほうが親切だと思います。
書く順番も、この4つの並びのままでいきます。いつ起きるかから埋めていくと、作業を思い出す手がかりがカレンダーになり、頭から絞り出すより速く進みます。
先に4項目の枠だけを全部の作業ぶん作ってしまって、あとから埋めていく形にすると、途中で力尽きても何が埋まっていないかが一目で分かります。
4項目のほかに1つだけ足すなら、やらなくていいことを書いておくと喜ばれます。前任者から受け継いだものの、いまは意味がなくなっている作業は意外にあるので、そこを残したまま渡すと、相手がずっと続ける羽目になるんです。
この4項目が揃っていれば、資料としては十分です。日数の見積もりを立てるときも、この形で数えていくと現実的な数字が出ます。
引き継ぎに要る日数と、退職日や有給の並べ方は、日程の記事のほうに置きました。
後任が決まっていない場合の書き方
引き継ぎでもっとも困るのが、渡す相手が決まっていない状況です。採用が間に合っていない、社内の人事が動いていない、そもそも欠員のまま回す予定になっている。どれもこちらでは決められません。
このとき、読む人を想像できないまま書くことになるので手が止まりがちですが、前提そのものを変えてしまえば動き出します。
想定する読み手は、その仕事を何も知らない人に固定してしまうのが早いです。引き継ぐ相手が経験者なら説明を省けますが、決まっていないなら、いちばん知識のない人に合わせておくほうが安全です。
具体的には、専門用語の横に説明を足していきます。社内でしか使わない略語や自分の部署だけの呼び方は外から来た人には通じませんし、そこを開いておくだけで読める資料に変わります。
上司に渡す形も、あわせて用意しておいてください。後任が決まっていない場合はいったん上司が預かることになるので、その人がざっと読める1枚を別に作っておくと親切です。
その1枚に書くのは、止まると困る作業の名前と期限だけです。詳しい資料はあとから読めばいいだけで、まず何を落とすと事故になるのかを先に見せる形にしておくと伝わります。
どこで引き継ぎが終わったことにするかも、先に決めておくと楽です。相手が決まっていないと終わりの合図が来ず、放っておくと資料を足し続けたまま最終日を迎えます。
資料を上司に渡して、中身を一度説明した時点で完了。この線を自分で引いて、そこから先は聞かれたことに答えるだけにしておけば、最後の数日に余白が残ります。
ここまでの準備は、退職日の1か月前くらいから始められます。準備期間の全体像については、流れごとにまとめました。
逆に、途中で後任が入ってきた場合は、資料をそのまま渡して終わりにするのは、もったいないです。文字にしていない部分がもっとも効きますから、1時間でも時間を取って、つまずきやすい点の欄を横に並べながら口で足しておくと、あとの問い合わせがぐっと減ります。
後任がいないことに責任を感じる人もいると思いますが、採用の判断は会社がするものです。自分が資料を残したかどうかだけを見て、そこで区切って構いません📘
最後の1週間と、持ち出してはいけないもの
最終日が近づくと、やることが渡すものと消すものの2種類に分かれてきます。順番は、渡すほうが先です。消すのは最後の2日で済みます。
渡すものは、資料と、引き継ぎが終わったという確認の2つです。口頭で終わらせず、渡した資料の一覧をメールで送っておくと、あとから連絡が来たときに何を渡したかが分かります。
送る先は、後任と上司の両方です。片方だけだと、担当が変わったときにもう一度ゼロから聞かれます。
そのメールは自分の控えとしても手元に置けるので、辞めたあとに問い合わせが来ても、送った記録があれば、答える範囲を自分の側で決められるようになるからです。
自分の名義で持っているものの移し替えも、この時期にまとめて出してください。外部サービスのアカウント、名義になっている契約、自分だけが持っている鍵やカード。
ここは資料より先に事故が起きる場所で、自分の名前のまま残ると、辞めたあとに問い合わせが直接届くことになります。一覧にして上司へ渡し、誰に移すかを決めてもらう形が確実です。
消すほうで気をつけたいのが持ち出しで、ここは印象の話ではなく規則の話です。会社の資産をどう扱うかという話であって、線をはっきり引いておく必要が出てきます。
顧客の連絡先、取引先の一覧、社内の資料やデータ。ここが線の引き場所です。これらを自分の端末や私物のストレージに移さないでください。次の会社で役に立つと思っても、規則で禁じられている場合が多く、後々の争いになる余地を残します。
職務経歴書に書きたくなる数字も、そのまま写すのは避けたほうがいいです。担当していた件数や規模を書きたい場合は、公開されている情報の範囲にとどめるか、おおよその規模として書く形にしてください🔗
自分の私物は、早めに少しずつ持ち帰るほうが楽です。最終日にまとめて運ぶと荷物が多くなりますし、挨拶に回る時間も取れません。
最後の数日は、挨拶に回る時間も先に確保しておきたいところです。世話になった人に一言ずつ伝えておくだけで、辞めたあとに連絡を取れる相手が残りますし、同じ業界に戻る可能性がある場合、その名簿がそのまま次の助けになります。
連絡先の交換は、無理にしなくていいです。続く関係だけが自然に残りますし、こちらから広く配る必要はありません。無理に増やしても、使わないまま終わりです。
在籍が短いまま次に移る場合、回数の見せ方が気になるところだと思います。回数の扱いは転職回数の記事に置いたので、書類を作る前に一度開いておくといいです。
転職回数が多いと不利か 回数ではなく「つながり」で見せる整理のしかた
引き継ぎと書類づくりを同時に進めるのがきついなら、書類の側を見てもらう手も残っています。書類の添削と面接の練習を続けて見てもらえるところなら、引き継ぎで書き出した材料をそのまま職務経歴書へ運べますし、在職中でも時間を合わせて進められます。20歳から29歳までが対象です。
引き継ぎで書き出した材料を、書類に変えたい20代の方へ
キャリアスタートの無料面談を申し込む※キャリアスタートは20〜29歳が対象の無料のエージェントです。 書類の添削から面接の練習まで続けて見てもらえるので、在職中で時間が取りにくい時期にも進められます。
30代以降の方や、まず求人の数を確かめたい場合は、扱う件数で比べてから決めるほうが早いです。
よくある質問
引き継ぎ資料は、どれくらいの分量が適切ですか?
枚数で決めないほうがいいです。毎日の作業は口で伝わるので書かなくて構いませんし、年に数回の作業だけを4項目で並べれば、たいてい数枚に収まります。分量が多いほど親切だと思われがちですが、読まれない資料は残らないので、相手が最初の1日で読み切れる量が上限です。
有給消化に入ったあとに質問が来たら、答える義務はありますか?
義務があるかどうかより、範囲を決めておくほうが実務的です。資料の場所を教えるだけで済む質問なら答えて、手を動かす作業を頼まれたら断る。この線を自分の中で引いておくだけで、だいぶ楽です。連絡の手段も、退職後は個人の番号ではなく会社のメール宛にしてもらうよう頼んでおくと、境目がはっきりします。
後任が経験者なので、資料はいらないと言われました。
それでも1枚は残してください。経験者でも、その会社のやり方や社内の連絡先は知りません。いつ起きるか、誰に連絡するか、どこにあるか。この3つだけを書いた1枚があれば、相手にとっても十分な助けです。要らないと言われた場合は、念のため置いておきますという形で渡せば済みます。
引き継ぎの途中で、自分の作業に抜けがあったことに気づきました。
隠さずに書いてください。引き継ぎ資料は評価の場ではないので、抜けていた部分をそのまま書いても不利にはなりません。むしろ、伏せたまま辞めるとあとで発覚して、そのときにこちらへ連絡が来ます。つまずきやすい点の欄に自分が抜かしていた理由まで書いておくと、相手が同じところで落ちません。
まとめ:前職のためではなく、自分の書類のために作る
引き継ぎ資料は、残る人のためだけに作るものではありません。作っているあいだに、職務経歴書の材料が手元に揃います。
時系列で全部書こうとすると終わらないので、頻度で分けてください。毎日の作業は口で伝わるので、文字で残すのは頻度の低いものだけです。
1つの作業について書くのは4項目だけです。いつ起きるか、誰に連絡するか、どこにあるか、つまずきやすい点。最後の1つだけが、自分にしか書けない部分です。
顧客の連絡先や社内のデータは持ち出さないでください。次で役に立つと思っても、規則で禁じられている場合が多く、争いの余地を残します。
引き継ぎを、前の会社への義務だと思うとしんどくなります。自分の棚卸しのついでに置いていくもの、くらいの位置に置き直せば、そこから手が動きはじめます。