未経験転職で年収はどれくらい下がる?|下げ幅ではなく、戻るまでの年数で見る

公開日:2026-08-08 / 更新日:2026-09-27 / 執筆:キャリアのナナメ相談所 編集部

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「未経験だと年収が下がる」。その言葉は何度も見たのに、どれくらい下がるのかはどこにも書いていません。

調べても出てくるのは平均の話ばかりで、自分の場合がいくらになるのかは分からないままなので、求人を開いては閉じて、決められないまま数週間が過ぎていきます。

ですが、下げ幅の相場を先に知ろうとすると、いつまでも決まりません。同じ未経験の転職でも下がり方には種類があって、種類ごとに戻るまでの年数が違ってくるからです。見るのは下がる金額ではなく、そのあと戻るのか戻らないのかのほうです。

この記事では、下がり方が3種類あることを分けるところから始めて、求人票のどこで見分けるか、戻る速さを決めているもの、そして下げてよい額の下限の決め方までを整理します。

「どれくらい下がるか」を先に知ろうとすると決まらない

答えが出てこないのには理由があって、同じ職種へ移っても、前にいた業界と次の業界の組み合わせで結果がまるで変わるからです。

同じ事務職でも、給与水準の高い業界から移れば下がりますし、低い業界から移れば同じか上がることもあります。前職の等級が上のほうだったなら下げ幅は大きくなりますし、入って数年だったなら差は小さく収まるので、組み合わせの数だけ答えがあるわけです。つまり、平均は自分には当てはまりません🧾

だから、探す数字を変えます。いくら下がるかではなく、何年で戻るか。こちらの数字なら求人票を見るだけで判断できるので、平均を探す手間そのものが消えます。

もう一つ、平均が当てはまらない理由を挙げておきます。世の中に出ている下げ幅の数字は、下がった人と上がった人をまとめてならしたものなので、下がった人だけを取り出した幅ではないんです。だから自分が下がる側にいる場合、平均より大きく下がることも珍しくありません。

この記事が受け持つ範囲を先に置いておきます。扱うのは応募する前、求人票を見ている段階なので、内定が出たあとに労働条件通知書で確かめる話は別の記事に分けてあるので、そちらとは時間軸が違います。

未経験転職で後悔する人の共通点 取り返せる後悔と、そうでない後悔

年収を上げる側の話も別で、どの業界を選べば上がりやすいかは業界選びの記事で扱っているので、この記事は下がることが前提の場合に何を見るかに絞ります。

未経験でも年収アップは狙えるか 業界選びの話

40代の場合は、判断の軸そのものが別です。取り返す年数が短いので、戻るかどうかより毎月の支出で決める話になるからです。年代ごとの違いは、年代別の記事のほうが合います。

40代の未経験転職 受かるかを心配する側から、選ぶ側へ

ここから先は、20代から30代で、下がることを受け入れるかどうかを決めようとしている段階の話として進めます。

下がり方は、3種類ある

下がると聞くと一括りに考えてしまいますが、中身を見ると3つに分かれていて、その3つは戻るまでの年数が違います。

下がり方戻るまで求人票のどこで分かるか
初年度だけ下がる1年から2年昇給の欄に金額か率が書かれていて、賞与の実績も月数で示されている
数年かけて戻る3年から5年昇給はあるが金額が書かれていない。等級や評価の基準は示されている
戻らない戻らない昇給の欄が「年1回」だけ。賞与も「会社業績により」しかない

1行目は、未経験で入るぶんの調整が初年度に集中している形です。試用期間中だけ下がる、あるいは1年目は前職より低い等級から始まるけれども、2年目からは通常の昇給に乗ります。この形なら下げ幅が大きくても受けられます。

2行目は、数年かけて追いつく形です。昇給する仕組みはあるのですが1回あたりの金額が読めないので、前職の水準に戻るまで3年から5年かかることもあり、その期間を耐えられるかどうかが判断の分かれ目です。

3行目だけは、別のものとして扱う必要があります。上がる仕組みそのものが用意されていないので、入った時点の金額がほぼそのまま続き、この形で下がると、下げた額は戻らないという意味になります🪙

多くの人が失敗するのは、3行目の求人に1行目の期待で入ってしまうことです。「最初は下がるけれど、頑張れば上がるはず」と考えて入るのですが、上がる仕組みがないので、3年たっても同じ金額のままだったりします。

ここで効いてくるのが、頑張りと昇給が別のものだという前提です。よく働いたかどうかを決めるのは職場の人ですが、金額を決めるのは会社の制度のほうなので、評価が高くても上がる枠がなければ動きません。だから入る前に見るのは自分の努力の見込みではなく、上がる枠が用意されているかどうかのほうです。

見分けがつくかどうかで、決め方も分かれます。1行目なら下げ幅を気にせず受けられますし、2行目なら耐える年数で判断できますし、3行目なら下げ幅がそのまま生活の水準になるので、下限で判断する話に切り替わります。

3行目だと分かった求人を、必ず外すという話でもありません。その職種の経験がどうしても欲しい場合は、金額が動かないことを承知のうえで入って、2年ほどで経験者として次へ移る使い方もできます。避けたいのは、上がると思い込んだまま入って、3年後に気づくという流れのほうです。

同じ会社の中で1行目と3行目が混ざることもあって、正社員の枠は昇給の仕組みがあるのに、契約から入る枠にはないという形です。応募する枠がどちらなのかは、求人票の雇用形態の欄で先に確かめておいてください。

求人票の3か所で、どれに当たるか分かる

3種類の見分けは、求人票の中だけで済みます。見るところは3か所だけです。

1か所目は昇給の欄で、ここに金額か率が書かれているかどうかで、上の表の1行目か3行目かがほぼ決まってしまいます。「昇給年1回」としか書かれていない求人は上がる幅が約束されていないので、3行目の可能性を先に考えてください。

2か所目は賞与の欄です。「年2回」という回数だけでは、いくら出るのかが分かりません。前年の実績が月数で書かれている求人は金額の見通しが立ちますが、「会社業績により支給」しかない場合は、年収の計算から賞与を外して考えたほうが安全です📄

3か所目はモデル年収や給与例の欄で、ここに入社3年目や5年目の金額が並んでいる求人は、上がる道筋を会社の側が示しているという意味になりますが、逆に初任給だけしか書かれていないなら、その先は分かりません。

3か所とも空欄に近い求人も出てきます。その場合は、面接で聞く質問に回してください。「いま在籍している方で、未経験から入られた方の等級はどのあたりですか」と人を主語にして尋ねると、制度より実際の運用のほうが返ってきます。

聞くタイミングは、面接の最後に質問を促されたところで構いません。給与の話を持ち出すと嫌がられると考えてしまいますが、聞いているのは制度の運用であって金額の交渉ではないので、答えられる会社なら普通に答えてくれます。逆に濁されたまま流れた場合は、その曖昧さ自体が1つの答えです。

ここで注意したいのが、給与欄に幅で書かれている数字の読み方です。「月給23万円から32万円」と並んでいる場合、未経験で入るなら見るのは下限の23万円のほうで、上限は経験者に提示される額だと考えたほうが外れません。幅の上のほうを自分の額として計算すると、内定が出た時点で必ずずれます。

もう1つ、試用期間中の給与が別に書かれているかも見ておく価値があります。試用期間は本採用と同じ額の会社もありますが、その間だけ下がる会社もあって、期間は3か月から6か月です。求人票に別の額が書かれていない場合は、面接で確かめておいてください。

見落としやすいのが、前職にあった手当が次の会社にはないという場合です。住宅手当や家族手当が月に2万円あった会社から、手当のない会社へ移ると、月給が同じでも手取りは下がります。求人票の給与欄には手当の有無まで書かれていることが多いので、月給の額と一緒に確かめておいてください。

求人票には給与の欄以外にも見るところがあるので、休日や研修の書き方まで含めた読み方は、別の記事でまとめました。

未経験歓迎の求人票をどう読むか

3か所を見終えたら、応募するかどうかはそこで決められます。平均の下げ幅を探す必要はもうありません。

戻る速さを決めるのは、金額ではなく仕組み

下がったあとにどれくらいで戻るかは、入社時の金額ではほとんど決まらず、決めているのは上がる仕組みのほうです。

同じ月給22万円から始めても、等級が上がる条件が決まっている会社なら3年で前職の水準に届きますし、条件が決まっていない会社だと5年たっても同じあたりにいます。出発点が同じでも、道筋があるかないかで結果が分かれます🔧

だから見るのは、上がる条件が言葉になっているかどうかです。等級が上がる基準、評価の項目、資格を取ったときの手当。このどれかが具体的に書かれていれば、自分が何をすれば金額が動くのかも見えてきます。

資格手当は、いちばん分かりやすい形です。対象の資格と月額が決まっていれば、取った時点で金額のほうが動きます。未経験で入る場合は、入社後に取れる資格が手当の対象になっているかを見ておくと、1年目のうちに動かせる部分が1つ見えてきます。

等級の仕組みがある会社なら、上がるまでの年数も聞けます。面接で「未経験で入った方が次の等級に上がるまで、どのくらいかかることが多いですか」と尋ねれば、実際の運用が返ってきます。制度があっても運用されていない会社もあるので、そこは聞いておいたほうが確実です。

反対に、上がる仕組みが何も見えない会社を選ぶ場合は、そこで長く働く前提を外してください。入って経験を作り、2年か3年で経験者として次に移る。その形なら、下がった状態は通過点になります。

この使い方をするなら、入る前に1つ決めておきたいことがあって、それは何年で出るかを自分の中で置いておくことです。期限を決めずに入ると、金額が動かないまま5年たっても気づきにくいので、2年なのか3年なのかを先に書いておくほうが動きやすいはずです。

つまり同じ求人でも、長くいる前提なら仕組みを見る必要があり、経験を取る前提なら仕組みは要らないということです。どちらの前提で入るのかを自分で決めておくと、求人票のどこを見るかも変わってきます。

下げてよい額の下限を、先に決める

見分け方が揃ったところで、最後に決めるのは自分の側の下限です。

下限を決めないまま求人を見ると、志望度の高い会社が出てきたときに、その会社の金額に合わせて下限が動いてしまいます。動かないようにするには、求人を開く前に数字を出しておくことです。

  1. 毎月必ず出ていく額を足す家賃や住宅ローン、光熱費、通信費、保険、返済、それに食費。趣味と貯金は入れない
  2. 手取りの下限を置く月給ではなく手取りで考える。社会保険料と税金の控除ぶんを引いた額にする
  3. 下回る求人は開かない見ると下限のほうを下げたくなるので、最初から視界に入れない

この3つを決めておくだけで、求人を見ながら迷う時間がぐっと短くなります。

足すのは、家賃や住宅ローン、光熱費、通信費、保険、返済、それに食費です。ここに趣味や貯金を入れないでください。入れると下限が上がりすぎて、応募できる求人がなくなります。

出した額と、求人票の月給を直接比べないことも大事です。月給から社会保険料と税金が引かれるぶん、手取りは月給より少なくなるからです。おおよその手取りで考えるか、前職の給与明細の控除額を目安に引いてください🗒

下限を決めたら、そこから下の求人は開かないようにします。見てしまうと、仕事内容が良く見えて下限のほうを下げたくなるので、最初から視界に入れないほうが判断がぶれません。

家族と暮らしている場合は、下限を出した時点で共有しておくほうが早く進みます。金額が下がることを後から伝えると、下げ幅そのものより、先に言わなかったことのほうが問題になってしまうからです。毎月必要な額と、下がる見込みの額を並べて見せるだけで足りるはずです。

下限に届かない求人が多いと感じたら、下限を下げるのではなく、狙う職種を1つ広げてください。同じ未経験でも、職種によって募集の出方が違ってきます。どの職種なら経験を持ち込めるかは、年代別に整理した記事のほうが具体的です。

30代の未経験転職 職種選びで結果が変わる

下限が決まったら、次はそこを満たす求人を探す作業に移ります。ただ、昇給の欄と賞与の実績まで見て絞ろうとすると、求人サイトの検索条件では引っかからない部分が残ります。条件を言葉で渡して探してもらえる相手がいると、そこがまとめて片付きます。

下限は決めたのに、求人の絞り込みで止まっている方へ

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未経験転職におすすめのエージェント比較

よくある質問

前職と同じ年収で未経験の仕事に入ることはできますか?

職種と業界の組み合わせによっては起こります。給与水準の低い業界から高い業界へ移る場合や、前職の等級が低かった場合は、同じか上がることもあるからです。ただ、それを条件にして探すと応募できる求人がかなり減ります。先に見るのは戻るまでの年数で、同額かどうかは結果として付いてくるものだと考えたほうが、選べる範囲が広く残ります。

提示された金額は、交渉できるものですか?

未経験の枠では、動く幅は大きくありません。経験者の採用と違って、提示される等級が最初から決まっていることが多いからです。それでも、前職の年収を伝える場面はあるので、そこで金額を正確に出しておくと調整の余地が生まれる場合はあります。交渉に期待するより、昇給の仕組みがある会社を選ぶほうが、結果として戻る速さに効いてきます。

下がった状態で入って、あとから転職し直せますか?

できますが、在籍が短いと次の選考で理由を聞かれます。1年未満で動く場合は、年収が理由だと伝えると条件で移る人だと受け取られやすいので、入る前に確かめておけた部分は先に確かめてください。逆に2年か3年続けて経験を作ってから動くなら、未経験ではなく経験者として応募できるので、そこで水準が戻ることもあります。

賞与がない会社は、避けたほうがいいですか?

月給に含めて払う会社もあるので、ないこと自体は問題になりません。見るのは年間の総額です。賞与のない会社で月給が高い場合と、賞与がある会社で月給が低い場合を、12か月ぶんと賞与を足した額で比べてください。それに賞与は業績で変わるので、月給に寄っている会社のほうが年収が読みやすい面もあります。

まとめ:金額ではなく、戻る道筋を見る

下げ幅の平均を探しても、自分の答えは出てきません。前にいた業界と次の業界の組み合わせで、結果そのものがまるで変わってくるからです。

下がり方は3種類あります。初年度だけ下がる形、数年かけて戻る形、そして戻らない形。同じ「年収が下がる」でも、意味がまったく違います。

どれに当たるかは、求人票の3か所で判別できます。昇給の欄に金額か率があるか、賞与の実績が月数で書かれているか、モデル年収に3年目や5年目が並んでいるか。

戻る速さを決めているのは入社時の金額ではなく、上がる仕組みのほうです。等級の基準、評価の項目、資格手当。どれかが言葉になっていれば、自分で動かせる部分が残っているということです。

そして自分の側では、手取りの下限を1つだけ決めます。毎月必ず出ていく額を足して、そこを下回る求人は開かない。趣味や貯金は、その足し算には入れません。

いくら下がるかを調べる手は、いったん止めて構いません。今日やるのは、毎月出ていく額の足し算だけです。下限が1つ出れば、求人の半分は見なくて済むようになります🔑