未経験から営業職へ|「きつい」の中身は、営業の種類で全然ちがう

公開日:2026-09-03 / 更新日:2026-09-03 / 執筆:キャリアのナナメ相談所 編集部

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「営業はきつい」——未経験で求人を探していると、この一言で候補から外してしまうことがあります。

ただ、その「きつさ」の中身は、営業の種類によってまるで違います。毎日100件近く電話をかけて断られ続ける仕事もあれば、決まった取引先を回って在庫と納期を調整する仕事もあって、どちらも同じ「営業職」の3文字で募集がかかっています。

一方で、入口の広さは職種の中でも群を抜いています。 dodaの転職求人倍率を見ると、2026年6月時点で事務・アシスタントが0.53倍なのに対し、営業は2.85倍。同じ未経験からの挑戦でも、席の数が5倍以上ちがう計算です。

この記事では、営業を4つの軸に分けたうえで、求人票からその軸を読み取る方法、「きつい」の中身が種類ごとにどう違うのか、そして自分に向いているかを性格ではなく過去の動作から見る方法までを整理します。

「営業」はひとつの仕事ではない

求人アプリで「営業」と検索したときに浮かぶのは、飛び込みやテレアポの光景ではないでしょうか。知らない相手に断られ続けて、社内では数字を詰められる。そんなイメージが先に立つので、条件から外したくなるのも無理のない話です。

けれど、営業という3文字で切ってしまうと、自分に合うかもしれない求人まで一緒に消えます。営業は、ひとつの職業名ではありません。会社によってやっていることが本当に違う仕事だからです。

見るポイントは、4つです。

誰に売るのか、何を売るのか、新しいお客様を探すのか既に取引のある相手を担当するのか、そして直接会いに行くのか電話やオンラインで完結するのか。この組み合わせが変わるだけで、1日の過ごし方はまるで別物です。

軸分かれ方1日の過ごし方の違い
誰に売るか法人 / 個人法人は平日の日中が中心。個人は夕方以降や土日の対応が入る求人もある
何を売るか有形 / 無形有形は仕様と納期の確認が多い。無形は相手の話を聞いて提案を組み立てる
どこへ行くか新規開拓 / 既存フォロー新規は断られる前提で数をこなす。既存は関係の維持と社内調整が続く
どう会うか訪問 / インサイド訪問は移動と外出が入る。インサイドは電話とWeb商談で社内にいる時間が長い

たとえば法人の既存顧客に消耗品の注文を受けて納期を調整する営業なら、外を歩き回る時間はそれほど長くありません。一方で個人向けの商品を新規開拓で訪問する営業だと、お客様の予定に合わせて夕方以降に動く日も出てきます。

やっていることがここまで違うのに、求人票ではどちらも「営業職」とだけ書かれていることがあるんです。中身を見ないまま応募すると、入社してから「思っていた仕事と違った」と気づくことになりかねません。

職種名の欄は、その会社が社内で使っている呼び方をそのまま書いているだけの場合も多く、応募する側に向けて仕事内容を説明するために作られた欄ではありません。だから「営業職」という3文字を見て中身を想像しようとしても、材料が足りないのは当たり前なんです。

それでも、営業を最初から候補から外すのはもったいない選択です。冒頭の数字をもう一度出すと、事務・アシスタントが0.53倍に対して営業は2.85倍。同じ「未経験から挑戦する」でも、用意されている席の数が5倍以上ちがいます📌

事務職一本に絞る前に、営業の中で自分に合う働き方がないかを覗いてみる。そういう探し方もできます。

未経験から事務職へ 求人の探し方と現実

求人票から、その4つを読み取る

4つの軸は、求人票の本文を追っていけば見つけられます。職種名の欄ではなく、仕事内容と応募条件の欄に手がかりが散らばっているので、そこを拾っていく形です。

まず「誰に売るか」は、いちばん分かりやすく書かれています。「法人企業向け」「企業のご担当者との商談」とあれば法人営業ですし、「個人のお客様」「ご来店されたお客様」と書かれていれば個人向けだと考えて大丈夫です。

次の「何を売るか」も、商材名から判断できます。機械、食品、住宅設備のように形のあるものなら有形商材で、求人広告や人材サービス、ITシステムのように手渡せないものは無形商材と呼ばれています。

ただし商材だけで決めつけないほうが安全です。同じ無形でも、問い合わせに答える営業と、新規に提案を持ち込む営業では負担がまったく違うからです。

そこで効いてくるのが3つめの「既存か新規か」で、ここは言葉がはっきり分かれます。「ルート営業」「既存顧客のフォロー」「定期訪問」が並んでいれば取引のある相手が中心ですし、「新規開拓」「テレアポ」「飛び込み」「アポイント獲得」が出てくるなら、新しいお客様を探すところから始まる仕事だと考えてください。

最後の「どう会うか」は、移動の有無を左右します。「社用車で取引先を訪問」「外回りが中心」なら訪問型、「内勤営業」「電話・Web商談中心」なら社内にいる時間が長い仕事です🔎

仕事内容の欄でここが判断できないときは、応募条件の欄まで下りてみてください。「普通自動車免許(AT限定可)」が必須条件に入っているなら、社用車で動く前提の仕事だと考えられますし、逆に免許の記載がまったくない求人は、社内で完結する働き方が中心の可能性があります。仕事内容の欄より、応募条件の欄のほうが正直なことも多いんです。

ここでのコツは、ひとつの言葉だけで判断しないことです。「法人営業」と書いてあっても新規開拓か既存フォローかで日々の負担は変わりますし、「ルート営業」でも外出が多い会社もあれば、問い合わせ対応が中心の会社もあるんです。

4つの軸に当てはめながら読むだけで、「営業」としか見えていなかった求人の輪郭が、だいぶはっきりしてきます。

「未経験歓迎」の求人票をどこで見分けるか

「きつい」の中身は、営業の種類で変わる

営業を検討している人ほど、「自分に耐えられるだろうか」と考えます。でも、何を負担に感じるかは人によってかなり違っていて、断られ続けるのがこたえる人もいれば、社内外の板挟みのほうが疲れる人もいます。

全部の負担に強くなる必要はありません。苦手なものは避けていいんです。避けたうえで別の種類の営業を選ぶ、というのも立派な仕事選びだと思います。

営業の種類きつさの中身求人票のどこで分かるか
新規テレアポ型断られる回数が多く、いちいち引きずらない切り替えが要る「新規開拓」「架電」「アポイント獲得」
既存ルート型断られはしないが、客先の要望と社内の事情の板挟みが続く「ルート営業」「既存顧客のフォロー」「定期訪問」
無形商材の提案型正解が決まっておらず、考え続けること自体が負担になる人もいる「課題解決」「提案」「コンサルティング」
個人向け歩合型土日や夕方以降の対応が入り、成果と収入が直結しやすい「シフト制」「インセンティブ」「成果給」

新規テレアポ中心の営業でこたえるのは、拒絶の回数です。名乗った時点で切られる電話が続くので、1件ずつ気持ちを引きずらずに次へ進める人のほうが、結果的に長く続きます📣

既存顧客を回るルート営業は、断られる場面こそ少ないものの、疲れ方が別のところにひそんでいます。お客様の要望を持ち帰り、社内の担当者に確認し、できることとできないことをすり合わせる。この調整が続くと、営業というより「間に立つ役割」のほうがしんどくなってきます。

無形商材の提案営業になると、商品を見せて終わりというわけにいきません。相手が何に困っているかを聞き出して、その場で提案を組み立てる必要があるので、正解が決まっていない状態を面白いと感じる人には向きますが、考え続けること自体が負担になる人もいます。

個人向けの不動産や保険では、お客様の都合が優先されます。土日や夕方以降の対応が入る求人もあるため、勤務時間を大事にしたいなら条件欄まで読んでおきたいところです。インセンティブの比率が高い求人なら、成果と収入がどうつながるのかも先に確かめておくと安心できます。

どれを避けたいかが決まらないときは、前職でいちばん嫌だった場面をひとつだけ思い出してみてください。知らない人に話しかけるのが苦痛だったのか、板挟みになって謝り続けるのがこたえたのか、答えの出ない仕事を家まで持ち帰るのがつらかったのか。そのひとつが、避けるべき営業の型をだいたい教えてくれます。

「営業はきつい」という一言では、自分に合うかどうかまでは分かりません。どの負担なら受け入れられて、何だけは避けたいのか。そこまで分けてから求人を見ると、営業という選択肢が急に具体的な話へ変わってきます。

向いているかは、性格ではなく過去の動作で見る

「自分は明るくないから営業は無理」と、最初から外してしまう人がいます。ただ、人見知りは失格条件ではありません。営業に必要な動きは、明るく話すことだけではないからです。

相手の話を最後まで聞く、約束したことを忘れない、数字を確認する、断られたあとに次へ切り替える。実際の現場で効いているのは、こういう地味な動作のほうです。

だから性格を診断するより、これまで何をしてきたかを振り返るほうが、よほど確かな手がかりになるはずです。無理に「コミュ力」という一言にまとめなくても大丈夫です。

前職の動作は、営業のこういう場面で効いてきます。

クレーム対応のあと、引きずらずに次のお客様へ行けた
→
断られた直後に、次の1件へ切り替える
相手の話を最後まで聞いて、要望を整理していた
→
商談で相手の困りごとを聞き出し、提案につなげる
売上や在庫の数字を、毎日なんとなく見ていた
→
自分の進捗と目標を、自分で把握しておく
「あの件どうなりました」と催促される前に連絡していた
→
客先との約束を落とさず、信頼を積む

接客でクレームを受けた直後に、気持ちを切らさず次のお客様へ行けていたなら、その切り替えは新規営業でそのまま使えます。同僚の相談を最後まで聞いて「つまり困っているのはここだね」と整理していたなら、それは商談でやることと変わりません。

売上や在庫、シフトの人数を毎日なんとなく見ていた人も同じで、数字を追う動きに抵抗がないというのは、営業では立派な適性です💭

26歳のSさんは、アパレルの販売を4年続けていました。営業の求人を見ても「自分には向いていない」と思っていたそうで、人前で話すのが得意なわけでも、店でいちばん売る店員でもなかったからです。

そんなSさんには、ずっと続けていた癖がありました。接客したお客様が手に取った服、試着して戻したときの一言、「今日は下だけ探している」といった会話を、その日のうちにメモへ残していたんです。次に来店されたときに「前に見ていた色、入荷しましたよ」と声をかけるためでした。

「営業って、もっとぐいぐい行ける人がやる仕事だと思っていました」

今のSさんは、IT企業で既存のお客様を担当しています。やっていることは、あの頃のメモとほとんど変わりません。前回どんな話をしたかを記録して、必要なタイミングで連絡を入れる。それだけで「よく覚えていてくれる」と言われるそうです。

営業は、派手に話せる人だけの仕事ではありません。覚えておく、確認する、約束を守る。この3つを続けられる人が信頼を積んでいく世界でもあるんです。

スキルなし・資格なしでも転職できる

自分は営業向きかどうかを性格だけで決める前に、前職でやっていた動作を細かく思い出してみる。そこから始めれば十分です🧩

それと、入ってから重く感じるきつさには、時間で消えるものと消えないものがあります。そこを分ける話は別にまとめました。

未経験の仕事がきつい・続かない 消えるきつさと消えないきつさ

どの営業なら狙えるのかを整理したい、20代の方へ

キャリアスタートに無料で相談する

※キャリアスタートは20〜29歳を対象にした無料のエージェントで、面接対策に力を入れているサービスです。 営業は選考で受け答えそのものを見られる場面が多いので、練習に付き合ってくれる相手がいると進めやすくなります。学歴や正社員経験は問われません。

30代の方や、まず全体を見比べてから決めたい方は、対象年齢の違うサービスから探してください。

未経験転職におすすめのエージェント比較

未経験の営業でつまずきやすいこと

営業は求人の数が多いぶん、選び方を間違えると入社後に苦しくなりがちです。よく見かけるつまずき方を3つ挙げておきます🛠️

ひとつめは、「営業ならどこでもいい」で応募してしまうことです。大きな括りのまま探すと、自分がいちばん苦手な負担を持つ求人まで候補に入ってしまいます。

法人か個人か、既存か新規か、訪問かインサイドか。最初から全部を決める必要はありませんが、「これだけは避けたい」というものを1つか2つ持っておくだけで、求人の絞り方が変わります。

ふたつめは、面接で数字の話を避けてしまうことです。営業では売上や契約数を見る場面が必ずあるので、前職で数字を扱った経験があるなら出しておいたほうが話に芯が通ります。

店舗の売上を毎日確認していた、在庫数の動きを追っていた、シフトの人数を調整していた。こうした経験で構いません。「数字が得意でした」とまとめるより、「毎日ここを見ていました」と動作で話すほうが、仕事ぶりは伝わります。

未経験転職の面接でよく聞かれること10選

みっつめは、最初に内定が出た会社でそのまま決めてしまうことです。営業は選考が早く進むこともあるので、比べる前に手が止まってしまいがちです。ただ、返事は少し待ってもらえます。

仕事内容だけでなく、評価の仕組み、インセンティブの出方、休日、研修の中身まで並べてみると、同じ「営業職」でも違いがはっきりします。特に見ておきたいのは、入社してから最初の3か月を誰と過ごすのかという部分で、先輩に同行して覚える会社と、初日から自分の担当を持たされる会社では、未経験のスタートがまるで違ってきます。

「営業ならどこでも」ではなく「この営業なら続けられそう」で選べると、入社後の景色が変わります。

求人票だけでは分からない部分は、面接で聞くか、エージェントに間へ入って確かめてもらう方法もあります。何をどう聞けばいいかは、初回相談の進め方のほうにまとめました。

未経験転職エージェントの使い方

よくある質問

営業の経験がなくても、本当に採用されますか?

営業職には未経験から応募できる求人があり、実際に接客や販売から移る人は少なくありません。大事なのは「営業経験がない」で止めず、前職で誰とやり取りし、何を確認し、どんな対応をしていたのかを言葉にしておくことです。相手の要望を聞いて社内に伝えた経験があるなら、それはもう営業の一部をやっていたことになります。

人見知りでも営業はできますか?

人見知りという理由だけで外す必要はありません。営業には、相手の話を聞く、約束を落とさない、必要なことを期日までに返すといった動きも含まれていて、そこを強みにしている人もいます。初対面で場を盛り上げるのが得意な人と、細かく連絡を返して信頼される人では、売れ方そのものが違います。

ノルマを達成できないと、どうなりますか?

未達成ですぐ解雇されるという話ではありませんが、評価や賞与に反映される会社はあります。気になるなら面接で「目標はどう決まるのか」「未達のときはどう評価されるのか」「インセンティブは何に対して出るのか」まで聞いておくと、入社後のギャップが小さくなります。聞いたから落とされる質問ではありません。

有形商材と無形商材、未経験ならどちらが入りやすいですか?

商品を手に取って説明できるぶん、有形のほうが仕事内容を想像しやすいという人はいます。ただ無形商材でも、研修と同行が用意されている会社なら未経験から入れます。「有形だから安心」と決めるより、商材の知識をどう覚えるのか、最初の3か月で誰がついてくれるのかを求人票で確かめるほうが確実です。

まとめ:「きつさ」の種類を選んで一歩踏み出す

営業は、職種名だけでは中身の分からない仕事です。法人か個人か、有形か無形か、新規か既存か、訪問かインサイドか。この組み合わせが変われば、日々の動きも負担もまるで別のものです。

だから「営業はきついから自分には無理」と、最初から決めてしまわなくて大丈夫です。

次に求人アプリを開いたら、「法人営業」「ルートセールス」「インサイドセールス」と検索して、出てきた求人票を3件だけ開いてみてください。仕事内容の欄を見ながら、誰に売るのか、何を売るのか、新規か既存か、どう会うのかを当てはめていきます。

「これならできそう」と思えるものが1件でもあれば、お気に入りに残しておく。今日はそこまでで十分です。

営業という3文字で決めてしまうには、この職種は広すぎます。中身を分けて見ていくと、続けられそうな働き方がその中に混ざっているかもしれません。