未経験転職の志望動機の書き方|3つの材料は、取る場所が違う

公開日:2026-08-05 / 更新日:2026-09-27 / 執筆:キャリアのナナメ相談所 編集部

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夜の11時。ワードの画面に「志望動機」と打ち込んだまま、カーソルだけが点滅している。

1行目が出てきません。前の職場のことを書けばいいのか、応募先を褒めればいいのか、それとも入ってからやりたいことなのか。どこから手をつければいいのかが分からないまま30分が過ぎて、結局その日は保存もせずに画面を閉じて終わりです。

ここで多くの人が、自分には文章力がないのだと考えます。ですが止まっている原因は書く力ではなく、材料をどこから持ってくるかが決まっていないところにあって、志望動機というのは1つの作文ではなく、出どころの違う3つの材料でできているからです。

この記事では、その3つの材料と取ってくる場所を分けるところから始めて、書き出しの1行の作り方、「なぜこの会社なのか」の埋め方、そして書けたあとの確かめ方までを整理します。

書けないのは、文章力の問題ではない

白い画面を前にして手が止まるとき、頭の中では3つのことを同時に考えています。この職種を選んだ理由、この会社を選んだ理由、入ってから何をするか。これを1つの文章としてまとめようとするので、どこから書けばいいのかが決まらないんです✍

ためしに、3つを別々の紙に書き出してみると、それぞれ思い出す場所が違うことに気づくはずです。職種の理由は前の職場の記憶から出てきますし、会社の理由は求人票を読み返さないと出てきませんし、入ってからの話にしても、募集の背景が分からないうちは手が動きません。

つまり3つは取ってくる場所がそもそも別で、それを1つの作業だと思って同時に進めようとするから、どれも中途半端なまま画面が白いままなんです。

逆に言えば、文章がうまい人が有利な場面でもありません。読む側が見ているのは表現の巧さではなく、この人が前に何をしていて、それがこの仕事とどうつながるのかという中身のほうだからです。だから材料が揃っていれば、飾りのない書き方のままで十分に通ります。

あわせて入れ替えたほうがいいのが時間の配分で、多くの人は書く時間を長く取るのに、材料を集める時間をほとんど取りません。ところが実際に効くのは逆で、材料が3つ揃っていれば書くのは20分で終わりますし、揃っていなければ2時間かけても終わりません。

ここで扱う範囲を、はっきりさせておきます。この記事は書類に書く文章の話で、面接で口に出す答えは別の記事に分けてありますが、書類は読まれる順番も分量も違うので、同じ文をそのまま声に出すと長すぎるんです。

面接で「なぜ未経験でこの仕事を?」3つの「なぜ」を分けて答える

履歴書の志望動機欄については、書く中身より分量の話が中心で、3行に収める作業になるので、そちらも別の記事に分けました。ここで作るのは、職務経歴書やエントリーフォームに入れる本文のほうです。

ITの職種を狙っている場合は、職種ごとに書き分ける部分が出てきます。プログラマーとヘルプデスクでは準備しておくものも語る内容も変わるので、そこは専用の記事のほうが具体的です。

未経験からIT業界へ 志望動機の作り方

それと、材料そのものが見つからないという状態は、また別の話です。前の仕事で何をしていたかを書き出す段階でつまずいているなら、志望動機に手をつける前にそこを片づけたほうが、結果的に早く進みます。

未経験の職務経歴書に書くことがない人へ

ここから先は、材料はあるのに並べ方が分からない、という段階の話として進めます。

3つの材料は、取ってくる場所が違う

3つに分けたので、次はそれぞれの取り出し口です。ここを間違えると、書き上げたのに刺さらない文章になってしまいます。

書く部分どこから取るかよくある間違い
なぜこの職種なのか前の職場でやっていた動作から。職種名ではなく、実際に手を動かしていたこと「昔から興味がありました」で止める。誰でも書けるので材料にならない
なぜこの会社なのか求人票の中で、その会社にしか書かれていない1行から会社のサイトにある理念を写す。同業他社にも当てはまるので差が出ない
入ってから何をするか募集の背景から。増員なのか欠員の補充なのか「貢献したいです」で終わる。何をするのかが書かれていない

1行目の取り出し口が、もっとも見落とされます。職種を選んだ理由を書こうとすると、多くの人はまずその職種のことを調べに行くのですが、探す場所は応募先ではなく前の職場のほうなんです。

たとえば事務職を志望するなら、前の仕事の中で紙や数字を扱っていた場面を思い出します。レジ締めで金額を合わせていた、シフト表を作って貼り出していた、点検の記録を毎日つけて上に回していた。こうした動作のどれかがそのまま、その職種を選んだ理由として使えます。

動作で書くと、別の得もあります。読む側が仕事ぶりを想像できるんです。「几帳面な性格です」と書かれても確かめようがありませんが、「毎日決まった時刻に記録をつけて上に回していた」なら、入ってから何をする人なのかが手触りとして伝わります。

ここで注意したいのが、動作の大きさを気にしないことです。会社を動かしたような話を探そうとすると1つも見つかりませんが、毎日やっていた小さい作業のほうが、むしろ相手には伝わります。派手さより、繰り返していたことのほうが強いんです。

2行目は、求人票の中を探す作業です。会社のサイトを開くと理念や沿革が並んでいますが、そこから取ると同業の別の会社にも当てはまる文章になってしまうので、見るのは募集の中身のほうです🔎

具体的には、仕事内容の欄と応募資格の欄を読み返して、目に留まった1行を探します。「まずは既存のお客様への定期訪問から」「入社後3か月は先輩が同行します」といった、その会社が自分で書いた文のことで、理念と違ってこういう一文は会社ごとに必ず違います。

3行目の取り出し口は、求人票の募集背景の欄です。増員と書かれていれば事業が広がっている途中なので、先に立ち上がって数を増やす側に回ると書けますし、欠員の補充なら前の担当者の範囲を引き継ぐ形になるので、早く独り立ちする話のほうが合います。

背景が書かれていない求人も出てきます。その場合は無理に推測しないで、募集人数と入社時期から当たりをつけるくらいで十分です。複数名の募集で入社時期に幅があるなら増員の可能性が高く、1名の募集で入社時期がすぐと書かれているなら、補充に近い形だと見ておけば十分です。

3つの取り出し口が決まると、書く順番も勝手に決まってしまいます。記憶、求人票、募集背景。この順に開いていけば、3つのブロックが順番に埋まっていきます。

書き出しの1行を「御社」で始めない

材料が揃ったら、次は並べる順番の話です。ここで読まれ方がはっきり分かれます。

読む側は1日にいくつもの書類を続けて開くので、そのときに最初の1行が全部同じだと、中身まで同じに見えてしまうんです。そして未経験の応募でもっとも多い書き出しが、会社から始まる形です。

読み飛ばされる書き出し

  • 御社の事業内容に共感し、志望いたしました
  • 未経験ですが、一日も早く貢献できるよう努力いたします

読まれる書き出し

  • 前職のガソリンスタンドでは、給油のほかに車の点検も担当していました
  • オイルやタイヤの状態を見て、交換の時期が近いお客様に声をかけていました

読み飛ばされるほうの2つは、誰が書いても同じ文になります。会社を褒める言葉も、努力するという宣言も、応募者の側の事実が1つも入っていないからです。

読まれるほうの2つには、その人しか書けないことが入っています。勤めていた店の名前と、そこで実際にやっていた動作。読む側はこの1行で、どういう仕事をしてきた人なのかを受け取ります。

やることは順番の入れ替えだけなので、何かを書き足さなくて大丈夫です。会社への言葉を消すのではなく、後ろに回すだけです。事実のほうを1行目に置いて、会社の話は真ん中に入れる。それだけで最後まで読まれる確率が変わってきます。

それから、書き出しで避けたいのが、未経験という言葉から始めることです。「未経験ですが」と書くと読む側は足りないもののほうに目を向けますし、そこから先が全部、足りない部分を埋める説明に見えてしまいます🧩

未経験であることは応募した時点ですでに相手に伝わっているうえ、書類の上でもう一度宣言する必要もないので、その1行は前の職場でやっていたことに使ったほうが得です。

書き出しの長さも、短いほうが読まれます。1行目に条件を詰め込むと最後まで読まないと意味が取れない文になってしまうので、1行目は事実を1つだけ置いて、理由は次の文に回すのが要点です。

それから、冒頭に「この度は貴重なお時間をいただき」のような挨拶を置くのもやめておきます。丁寧に見えますが、読む側が知りたいことが1行ぶん後ろにずれるだけなので、置かないほうが得です。

「なぜこの会社」は、3社並べてから書く

いちばん手が止まるのは、会社の理由のところです。そして止まる原因も、たいてい1つに決まっています。1社しか見ていないからです。

1社だけを開いて特徴を探そうとしても、比べる相手がいないので何が特徴なのかが分かりません。同じ職種の求人を3社並べると、そこで初めて違いが浮いてきます📄

見るところは3つです。仕事内容の並び順、必須と歓迎の分け方、研修の書き方。この3つは会社ごとにはっきり違ってくるので、3社を横に並べさえすれば差は必ず見つかるはずです。

仕事内容の並び順は、その会社が何を中心に任せたいかを表しています。同じ営業事務でも、受発注の処理が最初に来る会社と、問い合わせ対応が最初に来る会社では、入ってからの1日の過ごし方がまるで違ってきます。

必須と歓迎の分け方にも、会社の考え方が出ます。必須を1つだけにして歓迎を長く並べている会社は、入ってから育てる前提で募集していますが、逆に必須が5つ並んでいる会社は、即戦力に近い人を探しているということです。

研修の書き方で、いちばん差が出ます。期間が月数で書かれている会社、担当者がつくと明記している会社、研修という言葉しか置いていない会社。ここまで読み比べておくと、なぜこの会社なのかを1行で書けるはずです。

見つけた違いは、そのまま文章にしてください。読んだ1行を引いて、それが前の職場と近いことを添えるだけで済みます。凝った理由を作らなくても、読んだ事実を書けば、それが他の応募者と重ならない部分です。

求人票のどこをどう読むかは、学歴欄や給与欄まで含めて別の記事で細かく扱いました。

未経験歓迎の求人票をどう読むか

材料を実際に並べると、こうです。

前職のガソリンスタンドでは、給油のほかに車の点検も担当していました。オイルやタイヤの状態を見て、交換の時期が近いお客様に声をかける流れが決まっていて、その場で決めてもらえた回数を記録していました。同じお客様に何度も会う仕事だったので、一度きりの販売より、続けて付き合う形のほうが自分に合うと感じています。貴社の求人には、仕事内容の最初に既存のお客様への定期訪問と書かれていたので、そこが前職と近いと考えました。募集は複数名とのことでしたので、まずは先輩の訪問に同行しながら、担当を持てる状態まで早く上がりたいと考えております

この文には、立派な実績が1つも入っていません。それでも読めるのは、3つの材料がそれぞれ別の場所から取られていて、どこにも借り物の言葉がないからです。

長さの目安としては、これくらいで十分です。上限を指定されていない場合に長く書くほど熱意が伝わると考えてしまいがちですが、材料が3つ入っていれば、それ以上足しても読む側が受け取る情報は増えません。

書けたら、3か所だけ確かめる

書き上げたあとに全部を読み直すと、直したいところが次々に出てきて終わりません。見るのは3か所だけです。

1か所目は、会社名を別の会社に置き換えても成立しないかどうかで、置き換えて成立してしまうなら、それは会社の理由が入っていないという意味です。求人票から引いた1行を足せば直る部分なので、書き直す必要はありません。

2か所目は、前の職場の動作が1つ以上入っているかどうかで、性格や意欲の言葉だけで埋まっているなら、そこを動作に差し替えます。「丁寧に対応していました」ではなく「問い合わせの内容を記録して翌日に共有していました」の形です。

3か所目は、書き出しの1行が会社から始まっていないかどうかです。ここだけは並べ替えで直るので、手を入れる時間もほとんどかかりません🗂

ここまで見たら、そこで提出してください。4か所目を探し始めると、読む側には分からない部分を何日も直すことになってしまいます。

履歴書の欄に入れる分は、これを3行まで縮めるだけです。長さを調整するだけの作業なので、こちらを先に作っておけば使い回せます。

未経験の履歴書の書き方 空欄は埋めず、整える順番を変える

それでも書類が通らない日が続くなら、原因が志望動機の外にあるのかもしれません。経歴に不安があって書類の段階で止まっている場合は、そこを前提に見てくれるところへ持っていく手も残っていて、最初の相談だけなら費用はかかりません。

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未経験転職におすすめのエージェント比較

よくある質問

志望動機と自己PRは、何が違うのですか?

向いている方向が違います。志望動機は応募先に向いた文章で、なぜこの職種とこの会社なのかを書きます。自己PRは自分に向いた文章で、何ができるのかを書きます。同じ材料を使って構いませんが、志望動機では前の職場の動作を「だからこの仕事を選んだ」につなげ、自己PRでは「だからこれができる」につなげてください。つなぎ先が違うだけです。

未経験でも「将来やりたいこと」を書いたほうがいいですか?

1行あれば十分です。長く書くと、入ってすぐの仕事に関心がないように読まれることがあります。書くなら、入社直後に任される範囲の続きになる形にしてください。「3年後には新しい事業を立ち上げたい」より、「まず担当を持てるようになって、その次に後輩に教える側へ回りたい」のほうが、募集している仕事とつながります。

応募先が複数あるとき、志望動機は使い回していいですか?

3つの材料のうち、職種の理由と入ってからの話は使い回せます。会社の理由だけが1社ごとに変わる部分なので、そこを差し替えてください。全文を毎回作り直すと時間がかかるうえ、どこが効いたのかも分からなくなります。土台を1通作って、真ん中の1ブロックだけを入れ替える形が現実的です。

転職理由と志望動機がうまくつながりません

つなげようとしすぎている可能性があります。転職理由は前の職場の話で、志望動機は次の職場の話なので、無理に1本の線にしなくて構いません。両方に共通して入れるものが1つあれば十分です。前の職場で合わなかった働き方と、応募先で選べる働き方。ここが対になっていれば、読む側は自然につながって受け取ります。

まとめ:材料を取る場所から始める

止まっているのは書く力ではなく、材料をどこから持ってくるかが決まっていない点です。

材料ごとに、取り出し口が違います。職種の理由は前の職場でやっていた動作から、会社の理由は求人票の中の1行から、入ってからの話は募集背景から。この順に開いていけば、3つのブロックが埋まっていきます。

書き出しは、会社の話から始めないほうが読まれます。1行目に前の職場の事実を置いて、会社への言葉は真ん中に回す。並べ替えるだけなので、書き足す必要はありません。

会社の理由が出てこないときは、同じ職種の求人を3社並べてください。並び順、必須と歓迎の分け方、研修の書き方を見比べれば、差は必ず出てきます。

書けたら見るのは3か所です。会社名を入れ替えても成立しないか、前の職場の動作が入っているか、書き出しが会社から始まっていないか。ここを直したら、そこで提出して構いません。

次に画面を開くときは、志望動機から書かなくて大丈夫です。前の職場でやっていた動作を、3つ書き出すところから始めてください🕯