内定が複数出たら|未経験で選ぶときの判断軸3つ

公開日:2026-09-29 / 更新日:2026-09-30 / 執筆:キャリアのナナメ相談所 編集部

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転職理由の調査を開くと、まったく違う2つの理由が同じ18.7%で並んでいます。昇進やキャリアアップが望めないというものと、スキルアップしたいというものです⚖

出典:パーソルキャリア「転職理由ランキング【最新版】」20〜59歳の正社員978人・複数回答(同率10位の2項目)。

同じ数の人が挙げているのに、この2つは求めているものが違っていて、前者は会社の中での位置が上がらないことへの不満で、後者は自分の中に積むものが増えないことへの不満です。

つまり人が転職で取り戻したいものは1つではないので、内定を2つ持っている状態で、どちらが得かという1本の軸で比べようとすると、たいてい決めきれなくなります🪝

この記事では、漠然とした比較を確認できる形に置き換えるところから始めて、未経験で選ぶときの判断軸を3つ並べ、決めきれないときの手順と辞退の伝え方までを扱います。

迷うのは、比べ方が決まっていないから

内定が2つ出たあとに多くの人がやるのが、給与と会社の規模を並べて見ることで、数字で出ているので比べやすく、しかも人に説明もしやすいからです。

ところが未経験で入る場合、この2つはどちらも判断の材料として弱くて、1年目の給与は横並びになりやすく、会社の規模は自分が配属される部署の環境をほとんど表していないからです。

もっと具体的に言うと、大きな会社に入っても配属先に教える人がいなければ立ち上がりませんが、小さな会社でも面接で会った人がそのまま自分の上司になるなら、教わり方の見通しが立ちます。

だから比べる場所を変える必要が出てきます。数字で出ているものではなく、入ってからの数か月に効くものを見るほうが、あとで後悔しにくくなります🧾

未経験で入ったあとの後悔には型があって、取り返せるものとそうでないものに分かれるので、選ぶ前にそこを知っておくと見る場所が絞れてきます。

それから、内定が2つ出ているということ自体を軽く見ないでください。未経験の応募で2社から通ったのなら、書類と面接の形が仕上がっている証拠です。

だから、どちらを選んでも一定の水準には届いています。ここから先の判断は、良い会社を当てる作業ではなく、自分に合う形を選ぶ作業です。

いま2社で迷っているところが、すでに有利です。1社だけの状態だと条件を飲むしかありませんが、2つあるなら比べて選べます。

交渉の余地も少し生まれます。入社日や勤務地に希望がある場合、もう1社と比べている段階だと伝えたうえで相談すれば、応じてもらえることもあるんです。

ただ、年収を上げる交渉は慎重に進めてください。未経験の枠では提示額が制度で決まっている場合が多く、無理に押すと、条件を先に出す人だという印象だけが残ります。

2社のうち片方が未経験歓迎で、もう片方が経験者も含めて募集していた場合、後者のほうが入ってから比べられる相手の水準が上がります。悪いことではありませんが、立ち上がりの見え方は変わります。

規模そのものが2社で違う場合は、育て方の形から見ると差が出ます。3つの規模の違いはこちらです。

大企業・中小・ベンチャー 未経験が入りやすいのはどこか

それに、もう1社と比べていることを材料にした押し方は、相手の受け取り方を選びます。事実として伝えるだけにとどめて、天秤にかけていると聞こえる言い方は避けてください。

そして選べる状態は長く続かないので、返答の期限があるうちに比べ方を決めるところへ時間を使ってしまうほうが現実的で、調べ直しに何日もかけるより先に軸を置いたほうが早く着きます。

漠然とした比較を、確認できる形に変える

迷いが長引く理由の一つが、言葉のあいまいさです。雰囲気が良さそう、成長できそう、安定している。こういう言い方のままでは、2社を並べたところで差が出てきません。

雰囲気が良さそう
→
面接で会った人が、配属先の人かどうか
成長できそう
→
入って3か月で、何を任される予定なのか
安定している
→
未経験で入った人が何人いて、その人たちが何年いるか
年収が高い
→
1年目の手取りと、3年目の見込みがいくらか
教育がしっかりしている
→
研修の期間と、そのあと誰に確認しながら進めるのか
将来性がある
→
その会社がこれから増やしたい部門はどこか

左の言葉のままではどちらの会社にも当てはまりますが、右に置き換えれば、答えが出るか出ないかで差がつきます。

1行目が効いてきます。面接で感じの良い人に会ったとしても、その人が人事の担当者で配属先には別の人がいるなら、雰囲気を測る手がかりにはなりません。

成長できそう、も同じで、この印象は3か月で何を任されるかという問いに変えると答えが返ってきますし、返ってこない場合はそれも一つの情報です。

安定しているかどうかが、未経験で入るときにもっとも見たい部分で、未経験で入った人が過去にいて、その人たちがいまも在籍しているなら、受け入れの形ができている会社だと見当がつきます。

年収の欄は、額面ではなく手取りと3年目の見込みで見るのが要点です。額面が同じでも、手当の作りによって手元に残る金額は違ってきます。

見込みを聞くのは失礼にはあたらないので、3年目の社員の方はどのあたりの水準になりますかという聞き方をすれば、個人の給与を尋ねたことにもなりません。

残りの2つは、答えが返ってこなくても情報になります。研修の期間を即答できない会社や、伸ばしたい部門を挙げられない会社は、受け入れの形がまだ固まっていないということです。

答えの中身より、答えられるかどうかを見てください。2社に同じ6つを聞けば、そこだけで差が出ます。

求人票のどこにこうした情報が出ているかは、別の記事にまとめました。選考中でも確かめられる欄が意外とあるので、決める前に一度開いておくと差が見つかるはずです。

「未経験歓迎」の求人票、どこを見る?

そして右の欄に書かれていることは聞いて構わないので、内定を受けるかどうかを決める段階なら、確認のための面談を設けてもらえる会社も多いです。

聞き方も迷っているからとは言わなくて足りるので、入社前に確認しておきたいことがありますと伝えれば、相手も答える準備ができます。

判断軸は3つ。年収はそのうちの一部

置き換えが終わったら、3つの軸に振り分けます。見る順番も決まっているので、上から順にどうぞ。

軸見るところなぜこの順番か
立ち上がりの環境教える人がいるか。未経験で入った人がいるか。研修のあと誰に確認するかここが崩れると、最初の半年で消耗して続かなくなる
3年後に手元に残る経験任される範囲が広がる見込みがあるか。その経験が他の会社でも通じるか未経験の1社目は、次に動くときの土台になる
生活が回るか通勤時間、勤務の時間帯、1年目の手取り毎日のことなので、ここが無理だと他が良くても続かない

1つ目を先に置いた理由は未経験の場合ここで落ちる人がもっとも多いからで、教える人がいない環境に入ると、覚えるまでの期間が長引いて、そのあいだに気持ちが切れます。

確かめ方としては、面接で会った人が配属先にいるかどうかを見るのが早いです。配属先の責任者が選考に出てきている会社は、受け入れる側が自分で選んでいるということなので、それが立ち上がりの見通しを変えます。

2つ目は、3年後を見る軸です。未経験で入る1社目は、そこで身につけたものが次の選択肢を決めるので、任される範囲が広がる見込みがあるかどうかを見る軸です。

同じ職種でも会社によって扱う範囲は違うので、1つの工程だけを担当する会社と、前後まで任される会社では、3年後に持っている経験がまるで違ってきます🛤

見分け方は、募集の文面に出ていることが多いです。担当する範囲が細かく区切って書かれているか、複数の工程がまとめて書かれているか。そこに会社の任せ方が出ます。

3つ目に生活を置いたのは軽いからではなく、通勤や時間帯や手取りは毎日のことなので、ここが無理だと他がどれだけ良くても続きません。

この軸だけは、家族の予定も入れて考えてください。自分は通えても家の回し方が変わる場合があるので、片道の時間と帰宅の時刻を具体の数字で並べてから判断したいです。

年収はこの3つ目の中に入っていて、単独の軸にしていないのは、未経験の1年目は横並びになりやすく、差がついたとしても数年で入れ替わることが多いからです。

下げ幅をどう見るかと、戻るまでの年数の考え方は年収の記事で数字を出してあります。金額で迷っている場合は、そちらが先です。

未経験転職で年収はどれくらい下がるか

3つの軸で見て、1つ目と2つ目が明らかに良いほうを選ぶ。これがこの記事の答えです。3つ目で無理が出ない範囲であれば、年収の差は数年で追いつく場合が多いです。

逆に、1つ目と2つ目が両方とも弱いほうを年収だけで選ぶと、半年後に苦しくなります。教える人がいない環境で1年を消耗してから動き直すことになると、そのときには未経験ではなく短期離職の経歴を持って動くことになるんです。

それでも決めきれないときの手順

3つの軸で見ても差が出ない場合もあるでしょう。そのときは、比べ方をもう一段細かくしていきます。

紙を1枚用意して真ん中に線を引き、左右に社名を書いて、確認できる形に置き換えた項目を上から並べていきます。

そして同じ答えになった行は消していきます。どちらも研修が3か月なら、その行は判断そのものに関係しないからです。

残った行だけを見ると、たいてい3つか4つに減っているはずです。その中でいちばん取り返しがつかないものを選ぶ、というのが決め方です。

並べる項目は、7つか8つまでにしてください。それ以上増やすと、消した行より残った行のほうが多くなって、また最初の迷いに戻ります。

取り返しがつくかどうかで分けるのがもっとも外しにくい方法で、通勤時間は引っ越しで変えられますが、教える人がいない環境は自分では変えられません🗝

この見方で並べると、順位が入れ替わることもあります。年収の差は数年で追いつく余地がありますが、最初の半年で消耗して辞めた経歴は、そのまま次の応募に付いてきてしまうからです。

それでも決まらないなら、直感で選んで差し支えありません。ここまで来たら差はほとんどないので、悩む時間のほうが損です。

家族がいる場合は、紙をそのまま見せてしまうのが早いです。言葉で説明すると印象の話になりますが、置き換えた項目が並んでいれば、相手も同じ材料で考えられます。

ただし、決めたあとに理由を1行だけ書き残しておきます。半年後にきつくなったときに、自分が何を見て決めたかが残っていれば、判断のやり直しがしやすくなるからです。

書くのは、どの軸で決めたかだけで足ります。立ち上がりの環境で選んだ、通勤で選んだ。この一行があると、半年後に見直すときの起点になります。

入社後の後悔を取り返せるものとそうでないものに分ける考え方は、後悔の記事に置きました。

未経験転職で後悔する人の共通点 取り返せる後悔と、そうでない後悔

辞退の伝え方

選んだら、もう一方に連絡が必要です。ここを先延ばしにする人が多いのですが、早いほうがこちらも相手も楽です。

伝える手段は電話が確実で、メールだけだと読まれるまで時間がかかりますし、相手は社内の手続きを進めている最中かもしれません。

言い方は、簡潔でいいです。ほかの会社からも内定をいただき、そちらに進むことにしました。その2文で伝わるはずです。

担当者が不在なら、折り返しを待たずに伝言でも大丈夫です。決まったことを早く渡すほうが、相手の社内の動きを止めずに済みます。

理由を細かく説明する必要はなく、条件を比べた結果だと言えば伝わりますし、細かく話すと引き止めの余地が生まれます。

謝るのは、一度でいいです。時間をかけていただいたのに申し訳ありません、と言ったあとは、繰り返さないほうが会話が短く済みます。

理由を尋ねられた場合も、答えられる範囲で大丈夫です。立ち上がりの環境を優先しました、という言い方なら、相手の会社を下げることにもなりません。

電話のあとに短いメールを1本送っておくと、記録としても残ります。本日はお電話で失礼しました、という一文を添えるだけで済みます。

辞退した会社に、数年後また応募できるのかを気にする人もいます。きちんと連絡を入れてあれば、そこが障害になることは少ないです。

気まずさは残りますが、放置するよりずっと軽く済みます。連絡しないまま入社日を過ぎると、同じ業界で話が残ってしまう場合もあるんです。

もう一つ。選んだ会社の業界が、これから伸びる側なのかどうかも一度見ておきたい部分です。年収が上がるかどうかは、職種より業界で決まる部分が大きいからです。

未経験でも年収アップは狙える? 転職で知っておきたい「業界選び」の話

2社のどちらを選ぶかを一人で決めきれないなら、求人を出す側ではなく、話を聞いて整理する側の相手を使う手もあります。3つの軸のどれを自分が重く見ているのかを、質問を受けながら言葉にしていく進め方なので、条件がほぼ並んでいる2社で止まっている人に向いています。対象は30代から40代です🪙

条件がほぼ並んだ2社で、決めきれない30〜40代の方へ

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20代の方や、そもそも応募先そのものを増やしたい場合は、扱っている求人の量から見比べてください。

未経験転職におすすめのエージェント比較

よくある質問

返答の期限を延ばしてもらえますか?

聞いてみる価値は十分あって、もう1社の選考結果を待っているという理由なら、1週間ほど待ってもらえる会社も多いです。ただ、期限を延ばすほど相手の社内では不安が広がるので、いつまでに返すかは自分から示してください。来週の水曜までにご連絡します、と区切ってしまえば、待つ側も予定を立てられます。

条件の良い会社と、面接の雰囲気が良かった会社で迷っています。

雰囲気のほうを、確認できる形に置き換えてください。面接で会った人が配属先の人なのか、未経験で入った人が何人いるのか。ここに答えがあるなら、それは雰囲気ではなく環境の情報です。答えが返ってこないなら、雰囲気は判断材料から外して、条件と立ち上がりの環境で比べてください。

内定を承諾したあとに、辞退できますか?

手続きとしてはできる場合もありますが、避けたい判断です。相手は受け入れの準備を始めていますし、同じ業界で話が残ってしまう場合もあるんです。承諾する前に決めきるのが本筋なので、迷っているなら承諾を先延ばしにして、期限の相談をするほうが安全です。どうしても辞退する場合は、決めた日のうちに電話で伝えてください。

3社から内定が出ました。同じやり方でいいですか?

同じやり方で進められますが、先に2社に絞ってください。3つを同時に比べると項目が増えすぎて決まりません。3つの軸のうち1つ目、立ち上がりの環境だけで見て、明らかに弱い1社を外す。そこから2社で紙に並べる形にすると、判断の量が半分で済みます。

まとめ:年収差より、立ち上がりの差

内定が2つあるときに給与と会社の規模だけを並べても、未経験の場合は差が出ません。1年目の給与は横並びになりやすく、規模は配属先の環境を表さないからです。

あいまいな言葉は、確認できる形に置き換えてください。雰囲気が良さそうは、面接で会った人が配属先の人かどうか。成長できそうは、3か月で何を任されるか。

軸は3つです。立ち上がりの環境、3年後に手元に残る経験、生活が回るか。この順番で見れば、年収は3つ目の中の一要素にすぎません。

決めきれないときは、紙に並べて同じ答えの行を消してください。残った中で、いちばん取り返しがつかないものを選べば外しません。

いま見ている年収の差は、数年で入れ替わってしまう場合もあります。それよりも、最初の半年を乗り切れる環境がどちらにあるかで選んでください。